銀座5丁目、
あの華やかな街並みの中に、
ひっそりと佇む鳩居堂(きゅうきょどう)。
ご存知でしょうか?
正直に申しますと、
初めて目にした時
「なんて地味な店構えなんだろう」
と思いました。
銀座itoyaの
先進的なお洒落さとは
まるで対照的。
文具には
これっぽっちも
関心がない私にとって、
ただの通り道でしかありませんでした。
ある時
お客様から贈られた
鳩居堂の包み紙の箱を開けると、
ふわりと香り立つ
お香の匂いが、
私の中に眠っていた感覚を呼び覚ました。
その香りは、
言葉にできないほど奥深く、
まるで目に見えない糸で
私の記憶を手繰り寄せるようでした。
その日から、
私は鳩居堂を
ただの「古い店」ではなくなりました。
心の奥底にあった
何かを揺さぶられるような感覚が、
私をこの店へと引き寄せるのです。
銀座に用事がなくても、
ただ鳩居堂に立ち寄るためだけに
足を運ぶことも。
店内に入ると、
その朴訥とした空気に
心がほっとします。
お香や匂い袋、
美しい便箋たちが、
棚の上に静かに並んでいます。
目に見えないけれど、
確かに感じる温かさが
伝わってくるようでした。
今では
この場所が
私の心の隠れ家となっています。
時を超えて私たちを結ぶ
不思議な力があるお店。
それは、
静かで目立たないけれど、
確かにそこに存在する
「香り」という名の
魔法なのかもしれません。
つい大人買いしてしまう
和紙の葉書
鳩居堂(文房具屋さん)
新しいモノに出逢いたい時は
銀座の伊東屋へ(文房具屋さん)
みなみ