20才で看護師の国家試験に受かり
初めて勤めた病院は
大阪の某有名な精神科病院でした🏥

関東に引っ越して来てからも
精神科の病院に勤めていたので
精神科看護のエキスパート💫
とまではいきませんが
まあそこそこ精神科の経験が
あるっちゅーことです🧠

精神科は
とにかく毎日が刺激的で面白い！
一般科(今は身体科と言います)に移った時は
なんやこの物足りなさ🤢🤢🤢
と思ったくらい。

精神科での経験を振り返ると
とにかくネタが尽きません🖖🏻

特にわたしは
精神科の急性期病棟で働いていたので
患者の症状は劇的でした。

そこら辺の街中では
とてもお目にかかれないような
とんでもチャンがわんさか居ました。

個人情報に配慮しながら
ほんの少しのフェイクを混ぜて
今後も精神科のお話は
度々掲載するかも知れませんし
しないかも知れません。
どっちや。
気分次第や。


さてさて今回の患者は。

「洗濯回し過ぎおじさん」


🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧🫧


名前　Oさん
年齢　40代
診断　統合失調症
症状　幻聴、妄想に左右された奇異な行動
身長　190オーバー
体重　90キロ前後
髪型　前からハゲてるタイプの坊主
特徴　鯉に似てる、色白、とにかくデカい
家族　年金暮らしの母親と2人暮らし
入院　20才から計35回
金銭　困窮している


Oさんはとにかくしつこいんです。
ひとつ訴え始めたら止まらず
一日中同じことを言い
一日中担当の看護師を追いかけ回します。

ボールペンとメモ帳を持って
巨大でうろうろ付き纏って来ます。

この人が訴え始めたら
他の仕事はもうできません。


ある日、Oさんのお母さんが面会に来て
渡しているお小遣いをすぐ使い切るので
困っている。
何に使っているのか見ていてほしい。
と担当であったわたしに
相談がありました。

閉鎖病棟で、棟内しか移動は出来ないので
お金の使い道など限られています。

公衆電話か、
自販機か、
ランドリーか、
はたまた他の患者に渡しているのか、
他の患者に盗まれているのか。

選択肢はその程度です。

わたしはOさんのお母さんに依頼された通り
Oさんが何にお金を使っているのか
よくよく観察してみました。

すぐに明らかになりました。
ランドリーです。

Oさんは何度も何度も
棟内に設置された洗濯ルームを
出たり入ったりし
1日に何度も何度も
洗濯機を回していました。

一体、何をそんなに洗うものがあるのか。
Oさんが回していた洗濯機の蓋を
おそるおそる開けてみました。

何が入っていたと思いますか？



正解は、
何も入っていませんでした。



こんな無駄遣いがあるか！
年金暮らしの母親から貰った小遣いを
無駄にするんじゃあない👊🏻

わたしはOさんの病床に向かい
Oさんを問い詰めました。

今日1日で何回洗濯を回したのか。
そう問うと
Oさんはどんぐりまなこを見開いて
「8回8回8回8回8回8回8回8回」
と答えました。

しつこいんです。
これがOさんの平常運転です。

洗濯機の中に何も入ってなかったことを指摘し、
一体なにを回してるの？と
更に問い詰めました。

するとOさんは
どんぐりまなこをまた見開き

「経済を回しています。」

静かにそう答えました。

わたしは言葉を失いました。

経済は
今のあなたが回すもんじゃない。
など
色々と言いたいことはありましたが
わたしは言葉が出ませんでした。

Oさんのその返答に
わたしは
負けた。
そう思いました。

何とかしどろもどろな説得をし
その場を去りましたが
完膚なきストライクの一本を
華麗にとられてしまいました。



以上っ！！



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呂。