その日、
風俗嬢法子は
初めて風俗のお仕事をする素人新人のように
緊張していた。
待ち合わせ場所に行くのにためらいがあった。
いつもの定番キャラ、
オクテツ1のぶっ細工〜
オクテツ1の阿呆女〜
このキャラとは正反対の、
大人で知的ないい女ふうを、演じなくてはならなかったのだ。
いい女ふう？
3枚目キャラのワタシが？？？
いつもより、念入りにお化粧して
いつもより、頑張ってオシャレな装いをした。
なんどもなんども鏡をみた。
だって、
お客さまは
法子がめちゃくちゃいい女だと
過大なイメージをもって
毎日のように
大きな妄想をふくらませていらっしゃったのだから。
法子はアナタが考えているような
いい女なんかじゃないのよ？？？
アナタの、
大き過ぎる期待が、とても怖かった。
嫌われたら、どうしよう。
期待に添えなかったら、どうしよう。
アナタを、
失望させるのが怖いと、
緊張感にのどが詰まった。
別に一人のお客さまに、
嫌われてもいいじゃん？
あらたに出勤して、フリーのお客さまを待てばいいこと。
それなのに、
どうしちゃったんだろう、ワタシ。
アナタの期待に、
添いたいとおもった。
アナタが描くいい女に、なりたいとおもった。
アナタの膨らむ期待値のプレッシャーは
以外にも、
ワタシの性的興奮を増幅させた。
今まで感じたことがないような
プレッシャー
不安
恐怖心
緊張感
羞恥心
この感情は、
風俗嬢としては抱くことが少ない感情だから。
とても新鮮な気持ちになった。
すっかり忘れ去っていた
若きころ、
処女を捨てた日の感情が、
ふと、
よみがえってきた。
嗚呼
そうだった。
この感情、感覚、
初々しかったあのときのワタシ。
ねぇ。
いつもより、
かなーーーり遠慮してくださったの？
どうして？
お客さまなのに。
いつもの阿呆キャラを捨てて、
ちょっとクールなおすマシキャラを気どってみたんだけど。
いつもの自分じゃないみたい。
素は、知性皆無の馬鹿女なのよ？
たまには、
自分とは違うキャラになるのもいいかもね？
人はみんな、
ペルソナの仮面をもっている？
アナタが描く、
法子の一面もワタシのいちぶ。
破廉恥極まりない行為も、
愛があれば美しくなる。
アナタに捧げた処女の夜🌃
まるで、
生娘に戻ったかのように、
「恥じらい」に
うつむきながら
胸を焦がす
純情可憐な
少女のやうに。.☆.｡.:*・°
