柚の父は子供の頃両親を亡くして、高卒で就職したのだ。
その新人の時の本部長が父の父がわりになってくれてた。
柚にとっては血の繋がってないおじいちゃん。
そのおじいちゃんが亡くなりました。

おじいちゃんの冠婚葬祭には必ず父を呼んでくれて親族席に座らせてくれ、もちろん母との結婚式も親族として参加してくれた。
私のことも本当の孫のように接してくれました。

おじいちゃんも父もいい歳なので、数年前みんなで会いに行こうと提案して、おじいちゃんの家に行ったのだ。

これが顔を合わせた最後になった。

この時に柚はおじいちゃんに手紙を書いたのだ
『長きに渡り、父の父代わりになってくれたこと、どれだけ父が心強かったか』とお礼を綴った。感謝の気持ちは全部書いた。

この集まりで会えたことが父は満足だったらしい。私たち家族が見えなくなるまで見送ってくれた祖父母が忘れられない。

おじいちゃんは都内の一等地の戸建てに住む、子供の頃からお金持ちの穏やかで優しいおじいちゃんってイメージだった。

父はおじいちゃんのこと、『親父』って呼んでた。それが2人にとって絆のような関係でした。

気を遣うからとお香典はおくらないようにと父に言われたのだが、きっと柚にはわからないそうした方がいい理由が父にはあったんだと思います。

わたしは父から血の繋がりのない家族愛というものを教えてもらいました。

血が繋がっていてもころしあう人もいる。
啀み合う人もいる。

でも血が繋がっていなくても、こんなにも心で何十年と家族として繋がれる関係もあるんだなと。

父はおじいちゃんと会った大企業を役員退職しました。おじいちゃんにとっても誇らしい結果だったんじゃないかと。

ひとりぼっちだった父に愛情をたくさん与えてくれたおじいちゃんに感謝とご冥福をお祈りします。

柚