皆さま、

猛暑、酷暑とはよく言ったもので、

夏草さえ弱音を吐きそうな

酷い暑さが続いておりますおりますが、

お元気になさっておられますか？




さて。


電車に滅多に乗らない方からすれば、

ぴんと来ないかも知れませんが、

座席に空きがあるのだけれど、

何となく避けられちゃう、


「隣には、座られにくい方」


が、

たまに居られます。




酔っ払いさんだったり、

反社を思わせる見た目の方だったり、

様々なんですけどね。





「めちゃくちゃ整ってる方」も、

避けられちゃうみたいです。





先日、



出勤途中の電車の中で、

不自然に埋まらないひとつの座席が

ありました。



２０代でしょうか？




緩いカーブを描く、

艶やかな長い髪。

すうっと伸びたアイライン。

さらさらの白い首にかけられた

細いネックレス。

高級ブランドの紙袋。



プリンセス。



その方の頭上にだけ、

シャンデリアがあるような

煌びやかな空気感。




長く埋まらなかったその隣席に、


とある駅から飛び込んで来た、

砂漠を彷徨っていた旅人のような

ワイシャツ姿の方（多分５０代）が、

黒い大きなビジネスバッグを抱えて

どかっと、

倒れ込むようにおかけになったんです。






「」




かっと見開かれたプリンセスの目から、

発せられる

「ありえへんビーム」も、

全く気にしている様子のない

（余裕がない）旅人が、



濡れて崩れたワイシャツのポケットに

刺さっていた扇子をとり、

すし飯を仰ぐかのように

左手でばたばたと仰ぎ始めました。




「」



更にかっと目を見開き、

きらきら長い爪をたたえた細い指を

バッグに滑り込ませたプリンセスは、

右手に蝶々柄の扇子を握り、

隣から流されてくる風を

押し返すべく、

炭火焼き鳥のように

はたはたはたはたはたはたはたと

動かし始めました。




皆さま。




わたしは、

ぶつかり合う風と風の隙間に








初めて、

かまいたちを見た気がします。


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本日の合言葉


「かまいたち」